M&Aに関する補助金

M&Aは成約してからが本番!「PMI推進枠」補助金で成長を加速

最終更新日 2026年1月7日

M&Aは「契約の締結(成約)」がゴールではありません。譲受後の経営統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)をいかにスムーズに行い、シナジー(相乗効果)を発揮させるかが、その後の成長の鍵を握ります。
「事業承継・M&A補助金」のPMI推進枠は、この統合プロセスにかかる費用を支援する制度です。本記事では、2つの類型の内容と使い分けを整理して解説します。

1.M&Aの成否を分ける「PMI」とは?

M&Aは「契約の締結(成約)」がゴールだと思われがちですが、実はそこがスタート地点に過ぎません。結婚に例えるなら、M&Aの成約は「入籍」であり、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)はその後の「結婚生活」です。

PMIは、異なる価値観やルールを持つ二つの組織が、一つのチームとして機能し、相乗効果(シナジー)を生み出すための極めて重要な工程です。

準備不足のまま統合を進めると、業務上のミスや優秀な社員の離職、業績悪化を招き、投資効果が得られないばかりか破談に至るリスクもあります。PMIを通じて理念やシステム、企業文化を実質的に融合させることがM&Aの成功のカギとなります。

2.目的別で選ぶ2つの類型:活用シーンと補助金額の比較

PMI推進枠には、活用の目的に応じて「専門家活用類型」と「事業統合投資類型」の2種類が用意されています。

項目 専門家活用類型 事業統合投資類型
主な目的 外部の専門家を活用したい 設備投資やシステム導入を行いたい
補助下限額 50万円 100万円
補助上限額 150万円 800万円or1,000万円※
補助率 1/2以内 1/2以内
(小規模事業者は2/3以内)
主な経費例 コンサルティング、書類作成費 設備費、店舗改築費、システム利用料

※一定の賃上げを行った場合は補助金の上限が800万円から1,000万円にUP。ただし、小規模企業者であっても、800万円超から1,000万円以下の部分の補助率は2分の1になる。

小規模企業者とは?
小規模企業者の定義
製造業その他 従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主
卸売業・小売業
・サービス業
従業員の数が 5 人以下の会社及び個人事業主
宿泊業・娯楽業 従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主

さらに、「専門家活用類型」は、①他の「事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)」と併用する「同時申請」と②併用しない「単独申請」の2パターンがございます。

参考:「専門家活用枠」に関する記事

【負担を最小に】M&Aの「高い専門家報酬」を賢く抑える方法

3.あなたは対象?申請前に確認すべき「必須要件」

「専門家活用類型」の単独申請パターンと「事業統合投資類型」の補助金を受けられる要件として、以下の①と②のいずれも満たす必要があります。

①補助金の申請時点でM&Aの最終契約が締結されており、補助金の交付申請時点でM&Aの譲渡代金の支払いと経営権等の移転が完了していること。

②M&A 成立前に買手によるデュー・ディリジェンス(DD)が実施されていること。

デュー・ディリジェンス(DD)とは、M&Aに際して、主に買い手がファイナンシャルアドバイザー(FA)や弁護士等の専門家に依頼し、対象企業の財務状況や契約関係等を調査・確認する手続を指します。

※「専門家活用類型」の「同時申請」パターンの場合、M&Aの譲渡代金の支払いと経営権等の移転が完了している必要はありません。

4.具体的に何が補助される?対象経費と活用事例

M&A成立後から約1年の間に発生したPMIの取り組みに関する費用のみが補助金の対象となります。
それぞれの類型の対象となる補助金を確認していきましょう。

「専門家活用類型」の対象となる補助金

PMIを実施することにより、ディスシナジー(投資しないことによって生まれる非効率)の解消やコストシナジーの創出が見込まれる場合、そのPMIに関する専門家への費用が補助金の対象となります。

主な活用シーンと対象経費

  • 人事・労務システムの統合アドバイス: 両社の給与体系や就業規則の統合に向けた、社会保険労務士等への委託費。
  • 経営戦略の策定支援: 統合後の新会社における中長期計画の策定にかかる委託費。
  • 財務・会計フローの共通化: 会計ソフトの移行や財務ルールの統一に向けた専門家への指導費用。

ただし、PMI を実施する専門家は、金融機関(関連会社を含む)又は弁護士、会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント等であることが条件となります。

「事業統合投資類型」の対象となる補助金

譲受した事業の生産性を高めたり、新たな事業展開を行ったりするために必要な「具体的な投資」が補助の対象となります。

主な活用シーンと対象経費

  • 最新設備の導入: 製造ラインの統合に伴い、生産性の高い最新鋭の装置に入れ替える費用。
  • 店舗や事務所の改装: 2つの拠点を統合するための内装工事や、ブランド統一に伴う看板の架け替え費用。
  • ITシステムの刷新: 受注管理や在庫管理を一元化するためのクラウドシステムの導入・構築費用。

また、補助金の採択後から補助期間の開始前に、補助金の対象となる経費の見積もりを取得する必要がありますので、注意が必要です。
さらに、補助期間中に「発注・納品・検収・請求・支払」のすべてを完了させる必要があります。

5.スムーズな受給のために|申請ステップと早期準備のポイント

本補助金は以下の流れで申請します。必要な書類は多くあるため、早めのタイミングから準備を行うことを推奨します。

  1. GビズIDプライムのアカウントを取得する。
  2. 事業承継計画等の策定および履歴事項全部証明書などの必要書類を準備する。
  3. 認定経営革新等支援機関から事業承継計画等の確認書を取得する。認定経営革新等支援機関は、事業計画作成のサポートや補助金の申請をサポートする支援機関です。この支援機関からの確認書が必須です。
  4. 電子申請システム「jGrants(J グランツ)」を利用して、申請書類を提出する。

最後に

M&Aは、異なる背景を持つ組織同士が一つになる大きな転換点です。システムやルールの統合といった「ハード面」と、社員の意識や企業文化を融合させる「ソフト面」の両輪を回すPMIは、企業の将来を左右する重要なプロセスと言えます。
本補助金は、その過程で発生する専門家費用や設備投資を強力にサポートしてくれる制度です。「まずはプロの視点で組織体制を整えたい」場合は専門家活用類型、「具体的な設備投資で早期に収益を改善したい」場合は事業統合投資類型が適しています。
コスト面での懸念を軽減し、スピード感を持って統合を進めるために、ぜひ活用を検討してみてください。

本記事は要項を要約したものです。詳細については下記のホームページをご確認ください。
事業承継・M&A補助金事務局ホームページ

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