M&Aに関する補助金

【負担を最小に】M&Aの「高い専門家報酬」を賢く抑える方法

最終更新日 2026年1月6日

後継者不足や経営環境の変化を背景に、近年では事業承継やM&Aを選択肢として検討する中小企業が増えています。一方で、M&Aの相手探しや条件交渉、法務・財務面の確認には専門的な知識が不可欠であり、費用面や手続きの複雑さから一歩を踏み出せない事業者も少なくありません。
こうした課題を解決するために設けられているのが、「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)」です。本補助金は、M&A仲介業者や弁護士、公認会計士などの専門家に支払う費用を補助することで、事業承継やM&Aを円滑かつ安心して進めることを支援する制度です。
本稿では、専門家活用枠の概要や支援類型、補助対象となる事業者・経費などについて、初めて検討する方にもわかりやすく解説します。

1.M&Aの強い味方!「専門家活用枠」の目的とメリットを解説

本補助金である専門家活用枠は、企業を買いたい場合でも、売りたい場合でも活用することができます。

買い手支援類型: M&Aを通じて経営資源を譲り受け、事業拡大や生産性向上を目指す中小企業を支援。

売り手支援類型: 後継者不在などの理由で、事業を第三者へ譲り渡す中小企業を支援。

単なる資産売買ではなく、「実質な事業再編・事業統合」によって地域経済を活性化させることが本制度の目的です。

2.自分は対象?「買い手・売り手」それぞれの要件を分かりやすく整理

買い手と売り手のそれぞれが本補助金を受けるために、求められる主な要件やハードルを確認していきましょう。

[買い手の要件]

① 地域経済に貢献している中小企業者等であること。例えば、地域で雇用の維持・創出し地域に貢献している、地域または近隣地域での売上や仕入れが多い中小企業等。
②経営資源の譲受後、シナジーを活かした生産性向上等が見込まれること。

③経営資源の譲受後、地域の雇用や地域経済全体を牽引する事業展開が見込まれること。

④M&A成立後のトラブル防止等のため、デュー・ディリジェンス(DD)を実施すること。デュー・ディリジェンス(DD)とは、M&Aに際して、主に買い手がファイナンシャルアドバイザー(FA)や弁護士等の専門家に依頼し、対象企業の財務状況や契約関係等を調査・確認する手続を指します。

[売り手の要件]

① 地域経済に貢献している中小企業者等であること。例えば、地域で雇用の維持・創出し地域に貢献している、地域または近隣地域での売上や仕入れが多い中小企業等。

②地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、地域の雇用や事業が第三者により継続されることが見込まれること

3.【要注意】せっかくの申請がムダに?補助金を受け取れない「対象外」のケース

補助対象となるM&A手法は、合併や会社分割に限らず、株式譲渡や事業譲渡など幅広く認められています。
ただし、グループ内再編や親族間承継、実質的な経営資源の引継ぎを伴わない取引などは、原則として補助対象外となるため注意が必要です。

また、事業再編・事業統合における取引価格が、補助対象経費(専門家への委託費用等)に比して著しく低額である場合も、本補助金の対象外となります。

[補助対象外となるパターン(一部)]
  • グループ内の事業再編に該当する場合
  • 物品や不動産のみの売買に該当する場合
  • 親族間の事業承継に該当する場合事業再編・事業統合における取引価格が、補助対象経費(専門家への委託費用等)に比して低額であった場合
  • M&A後に対象会社の議決権の過半数を承継しない場合
  • M&A前から既に対象会社の議決権の過半数を保有している場合

4.最大600万円+加算金も!受け取れる補助金額と補助率の仕組み

本補助金では、M&Aに要する費用について、50万円から最大600万円までの補助を受けることが可能です。
さらに、デュー・ディリジェンス(DD)を実施した場合は、最大200万円が加算されます。

補助率は原則として最大2/3です。 (例:M&A仲介業者へ600万円支払った場合、その2/3にあたる400万円が補助されます)

種別 補助率 補助金額 追加補助金額
買い手 補助対象経費の2/3以内

50万円~600万円

補助事業期間内において、
M&Aがクロージングしなかった場合は
最大300万円まで

200万円まで
売り手 補助対象経費の2/3
または1/2以内

売り手として申請する場合、
以下のいずれかにも該当しない場合は、
補助率が1/2に引き下げられますのでご注意ください。

  • 物価高等の影響により、営業利益率が低下している場合
  • 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の場合

また、M&Aに伴い一部事業所等を廃業する必要がある場合には、上記とは別に、廃業費として最大150万円が追加で補助されます。

5.仲介料も対象?補助対象となる費用と「期間」の重要なルール

以下の①~③すべての条件を満たす経費が本補助金の対象となります。

①事業と明確に関係のある経費であること。

②補助対象期間内に契約・発注を行い支払った経費であること。支払った金額等が確認できる経費であること。

補助期間前に専門家と契約していた場合や、補助期間終了後に最終的なM&A契約を締結した場合は、原則として補助対象外となるため注意が必要です。
契約締結から報酬支払いまで、すべて補助期間内に完了している必要があります。

実施期間 補助金該当可否
補助期間開始前 補助期間中 補助期間終了後
仲介業者等との契約、
M&A相手先との最終契約、
仲介業者等への支払

 

仲介業者等との契約 M&A相手先との最終契約、
仲介業者等への支払
×
仲介業者等との契約、
M&A相手先との最終契約
仲介業者等への報酬支払 ×
仲介業者等との契約、
M&A相手先との最終契約
仲介業者等への支払 ×

本補助金の対象となる経費として、以下の費用があげられます。

補助対象経費(一部)

謝金、旅費、外注費、委託費(注1)、廃業費等
システム利用料(M&A マッチングサイト等のシステム利用料)、
保険料(M&A 当事者間で交わされる最終合意契約に規定される表明保証条項に関する保険料)

(注1)M&A仲介業者やFA(フィナンシャルアドバイザー)への報酬については、「M&A 支援機関登録制度」に登録された業者に対する費用のみが補助の対象となります。

なお、M&A仲介業者やFAに対して、M&Aの完了より手前で中間金として報酬を支払うケースがあります。中間金は、補助期間内に①M&A仲介業者やFAと契約書を締結し、かつ②M&Aの相手先と基本合意書を締結した場合に、本補助の対象となります。

6.スムーズな受給のために申請の具体的な流れと準備すべきこと

本補助金は以下の流れで申請します。必要な書類は多くあるため、早めのタイミングから準備を行うことを推奨します。

  1. GビズIDプライムのアカウントを取得する。
  2. 事業承継計画等の策定および履歴事項全部証明書などの必要書類を準備する。
  3. 認定経営革新等支援機関から事業承継計画等の確認書を取得する。認定経営革新等支援機関は、事業計画作成のサポートや補助金の申請をサポートする支援機関です。この支援機関からの確認書が必須です。
  4. 電子申請システム「jGrants(J グランツ)」を利用して、申請書類を提出する。

本記事は要項を要約したものです。詳細については下記のホームページをご確認ください。

https://shoukei-mahojokin.go.jp/

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