日本の中小企業において、経営者の高齢化は極めて深刻な課題であり、事業の承継が急務となっております。事業承継は、後継者がこれまでの伝統を受け継ぎつつ、新たな設備投資やIT化によって第二の創業に挑戦する絶好の機会です。事業承継による「攻めの姿勢」を強力にバックアップするのが、「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金」です。
本記事では、事業承継・M&A補助金の概要から補助金の取得方法まで解説します。
1. 事業承継補助金の事業承継促進枠とは?制度の目的を解説
本補助金の根幹にあるのは、「事業承継をきっかけとした生産性の向上」です。政府が本補助金を用意しているのは、経営者が交代するタイミングこそが、古い慣習を見直し、最新の設備を導入したり、新たな市場へ参入したりする「経営革新」のチャンスだからです。事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継を行う予定の後継者が中心となって取り組む、外注費・設備投資等の経費を一部補助することで、日本経済の活性化を図ることを目的としています。事業承継に際して、事業承継する方を中心に実施される生産性向上等に係る取組が補助対象となります。
2. 事業承継促進枠の対象者・要件は?親族内承継は対象?
事業承継する全員が本補助金を受けられるわけではありません。補助事業者・対象者の主要な要件を見ていきましょう。
主な要件
以下の①~④の要件すべてを満たす必要があります。
② 公募申請時点で3期分の決算及び申告が完了していること(個人事業主の場合は開業から5年以上)。
③ 承継の対象となる会社に3年以上役員・従業員として従事した者、または事業を引き継がせる者の親族が承継すること。
④ 引き継ぐ会社の経営資源を有効活用し、生産性向上に取り組むこと。
また、上記要件を満たしていても、フランチャイズ形態やグループ内の事業再編等による承継は本補助金の対象にはなりません。
3. 最大1,000万円!受け取れる補助金の金額
100万円~800万円or1,000万円を補助金として受け取ることができます。ただし、補助率は2分の1(小規模企業の場合は3分の2)となります。例えば、新たに1,000万円の設備費を購入した場合、1,000万円の半分である500万円を補助金として受け取ることができます。
| 補助率 | 補助金額 |
| 2分の1
(小規模企業者の場合は3分の2) |
100万円~800万円or1,000万円※ |
※一定の賃上げを行った場合は補助金の上限が800万円から1,000万円にUP。ただし、小規模企業者であっても、800万円超から1,000万円以下の部分の補助率は2分の1になる。
小規模企業者とは?
| 小規模企業者の定義 | |
| 製造業その他 | 従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主 |
| 卸売業・小売業 ・サービス業 |
従業員の数が 5 人以下の会社及び個人事業主 |
| 宿泊業・娯楽業 | 従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主 |
また、事業を継承した際、承継した一部の事業所等を廃業するケースもあるかと思います。当該廃業に係る費用については、上記補助金に加えて、追加で最大150万円の補助を受けることができます。
4. 何に使える?事業承継促進枠の対象経費と注意すべき4つの条件
以下の①~④すべての条件を満たす経費が本補助金の対象となります。
②補助対象期間内に契約・発注を行い支払った経費であること。補助期間より前に支払った経費は対象とならないので注意が必要。
③支払った金額等が確認できる経費であること。
④売上原価に相当する経費、事業を引き継がせる者に支払う譲受費用(例えば土地や資産購入費用等)ではないこと。
5. 申請から受給までの流れ
本補助金は以下の流れで申請します。必要な書類は多くあるため、早めのタイミングから準備を行うことを推奨します。
- GビズIDプライムのアカウントを取得する。
- 事業承継計画等の策定および履歴事項全部証明書などの必要書類を準備する。
- 認定経営革新等支援機関から事業承継計画等の確認書を取得する。認定経営革新等支援機関は、事業計画作成のサポートや補助金の申請をサポートする支援機関です。この支援機関からの確認書が必須です。
- 電子申請システム「jGrants(J グランツ)」を利用して、申請書類を提出する。
最後に
事業承継は、先代が築き上げてきた歴史という「信頼」の上に、後継者の「革新」を掛け合わせるプロセスです。本補助金の「事業承継促進枠」は、その後継者の第一歩を金銭面で支えるだけでなく、「5年間の経営計画を立て、認定支援機関に揉まれる」というプロセス自体が、後継者の経営能力を高めるトレーニングになります。「うちは親族間の承継だから補助金なんて関係ない」と思わず、この制度をきっかけに自社の将来を真剣に描く機会とするのはいかがでしょうか。
本記事は要項を要約したものです。詳細については下記のホームページをご確認ください。
